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民事信託について①


若狹です。

先日、東京で高齢者関係の会議があったのにあわせ、民事信託の研修を受講してきました。そして、研修で講義をしていただいた伊庭潔先生の本を購入させていただき、現在勉強中です。

仕事をしながらだとどうしても普段の勉強が独学中心になってしまっていますが、やはり優秀な先生のお話を生でバーッと高速で受講できると頭の中がクリアになりますね。

さて、「民事信託」といっても聞き馴染みのない方が大半だと思います。

平たくいうと、任意後見や法定後見等に至ってしまった場合では実現することがなかなか難しい、「事業承継」、「8050問題」、「親族の生活の安定」、「ペットのための信託」、「死後事務委任」、「相続税対策」・・・・・・等々の財産管理・財産承継ご本人のご意思通りに、スムーズに、お得に行う制度です。

私たち弁護士としては、ご相談・信託プランの検討~契約書の作成から、各士業とのコーディネートから、(ときには)信託監督人への就任まで、いわゆるオーダーメイド的に全体で長期間にわたってかかわることになります。

一方、柔軟にプランが立てられる代わりに、中には法の趣旨を十分に踏まえない類型的な処理をしてしまい、紛争となってしまっている事例があるようです。
研修でも、法律の趣旨に反した信託の契約書案が一部出回っていることもあるらしいとの話もうかがいました。
また、平成30年9月12日東京地裁判決では、とある司法書士の方が作成した受益者連続型の信託契約について、「遺留分制度を潜脱するものであり公序良俗に反して無効である」との判断も下されています(※なお、控訴をされているため調査の限りでは確定していないようです)。

信託というのは、十数年・数十年先を見据えてご自分でコントロールしながらご家族や周りの方にうまく資産を受け継がせるのに適した制度ですが、親族間の紛争や禍根を残してしまうのであれば本末転倒ですよね。
今後もまだまだ紛争がありそうな分野ですので、最新の裁判例の動向も注目していきたいと思います。

 

民事信託について、ご興味のある方がいらっしゃいましたら、まずはご相談からお気軽に当事務所までご連絡ください。