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働き方改革関連法①残業時間の上限など


こんにちは、静岡市葵区の弁護士浅野智裕です。

今回は働き方改革関連法の話です。働き方改革関連法案で、労働法関連が大きく変更になりました。

その改正の中の大きな1つが残業時間の上限設定です。

長時間労働は、過労に直結する問題であり、古くから過労死が問題となってきました。しかし、問題とされながらこれまでの対策が十分とはいえませんでした。そうしたなかで、つい数年前まで過労死の事件があったほどです。

今回は、この過労問題を法律で上限を設定して解決を目指そうとしたものです。もちろん、どこを上限とするかで議論が分かれており、改正の評価も賛否両論あることも承知しています。今回は概要をお伝えしようと思います。

具体的な改正内容としては、法律で残業時間を月45時間、年360時間を上限とするものです。1か月の労働日数を20日前後とすると1日当たり2時間程度となります。

また、いわゆる特別条項では、時間外労働と休日労働の合計が月100時間となります。さらに、時間外労働は年720時間以内、また、時間外労働と休日・時間外労働が2~6か月平均80時間以内、月45 時間を超えることができるのは年6か月 までとかなり細かく規定されています。またその他にもここに上げきれないほど細かく規定があります。

以前の規定でもある程度は大臣告示でありましたが、今回の改正は法律そのものに設定しました。また罰則規定も設けられました。こうしたことでの過労問題を解決していこうというものです。

これらの改正に伴い、36協定の書式が変更になったことから、これらの対応も必要となります。

こちらの施行日は大企業が201941日、中小企業は202041日になります。中小企業はまだあと1年ありますが、大企業はすでに目前に迫っています。

 

次に大きな改正は有給休暇の確実な取得があります。

有給休暇も労働者の権利として認められながら、未消化という問題がありました。

そこで今回の改正で、年休が10日以上付与される労働者には年5日間の年休を取得させる義務を使用者が負うことになりました。なお、使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取しなければならず、また、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません。

ただしすでに5日間以上の年休を請求・取得している労働者には取得させる義務はありません。

さらに使用者は労働者の年次有給休暇管理簿を作成して3年間保存しなければならないことになりました。

こちらの施行は201941日なので目前に迫っています。こちらは大企業、中小企業に差はなく、すべての企業ということになります。