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田中修治氏の「破天荒フェニックス」を読んで


こんにちは、静岡市葵区の弁護士浅野智裕です。

今回は読書の話です。読んだ本は田中修治氏の「破天荒フェニックス」です。

文体としては、物語風になっていて小説に近いものになっています。あとがきを読みますと、事実をもとに一つのフィクション、パラレルワールドの物語ということが書かれており、すべてが事実というわけではなさそうです。 ダイエーという実在した会社名が出てきたと思えば3大メガバンクの1つが「穂積銀行」という実在しない会社名だったり、いろいろ混在しています。

肝心の中身としましては、まさに波乱万丈の物語になっています。社長である田中氏が次々にやってくる苦難をなんとか乗り越えていく様子が臨場感豊かに書かれています。

仕事柄、事業再生などに携わることがあるのですが、そこで肝心なのは事業再生のスキームよりも社長の能力、熱意が非常に重要になっています。そういう意味では事業再生の良い教科書でもあると思います。

一方で、この本では田中氏は事業再生の手法は使わずに会社を買収しています(実際はどのような手法であったかはわかりませんが)。事業再生を扱う身とすれば、事業再生の手法を使えば、負債を軽くしての買収、再スタートができたかもしれません。そうすると、この物語で書かれている大きな負債をどうするかや資金ショートの危機などはあらかじめ回避できたかもしれません。

そういう意味では、苦境にある会社を何もせず買収するのは専門家としてはお薦めできません。まあ、苦難がなければこの本のような物語はできなかったわけで実際には何か使われているのかもしれませんが。

いずれにしても、今の時代に経営状況が良くない会社を買収するには私的整理の手法を組み合わせることをお勧めします。