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論語と算盤


こんにちは,静岡市葵区の弁護士浅野智裕です。

今回は読書の話です。

今回読んだのは渋沢栄一の論語と算盤です。よく知られた本ですが,読んだことがなく,一万円札に使用されると聞いて読んでみました。 

本書は渋沢栄一自身が執筆したものではなく,渋沢栄一の口述をまとめたもののようです。またその口述も一貫したものではなく,そのときどきのものなので,本書としては一貫したテーマで書かれたものではありません。1つ1つの身近なテーマに沿ったものになります。

ですから,一貫した理論が書かれていると思った人は肩透かしをくらいますが,テーマごとに短くも含蓄のある評論にわかりやすく,かつ考えされるものとなっています。

本書の「論語と算盤」という言葉も本書のなかの1つのテーマに過ぎず,論語に限らず,他の中国古典の引用も多くあります。

名著と言われるだけあって現代でも十分に通用する分析になっています。また,処世術や世渡りというような現実的なことも書かれていて,とても参考になる本でもあります。夏目漱石の「こころ」が内向的な本とすると,本書は対照的な外向的な本といえるのではないでしょうか。

余談ですが,本の帯には,多くの日本の大企業の創立に関わったとありますが,その関わった経緯などは書いてないのでそこに期待すると期待外れとなってしまいます。