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ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる


こんにちは,静岡市葵区の弁護士浅野智裕です。

今回は読書の話です。

今回読んだのはジム・コリンズさんの「ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる」です。

本書は創業から偉大な企業になる過程を研究して,その方法論を明らかにしようというものです。

本書でおもしろいのが大切なキーワードをジム・コリンズさんが作ったキャッチ―な言葉で表現していることです。10X型企業,狂信的規律,実証的創造力,建設的パラノイアです。ジム・コリンズさんが作った言葉ですので,今まで聞いたことがありません。こういった言葉を作って,読者を魅了します。

ジム・コリンズさんといえばビジョナリーカンパニーシリーズなのですが,解説によるとピーター・ドラッカーさんの後継者と言われているようです。ドラッカーさんといえば,経営学の世界的な権威で,日本では「もしドラで」再度有名になった方です。日本ではあまり後継者と言われていないようですが。もっともジム・コリンズさんは,まだ50代なので,これからますます執筆作品は増えると思うので,将来,その評価が明らかになっていると思います。

本書に戻って,偉大な企業になるために必要なことは巷で言われているようなこととは少し違ったところがあって驚きました。偉大な経営者といえば,イノベーティブで,大きなリスクをとって攻めて,経営判断のスピードも非常に早いものだと思っていました。しかし,本書によると上記はいずれも必要ない,とのことでした。偉大な経営者は,それほどイノベーティブではなく(業界で遅れない程度のイノベーションは必要なようですが),リスクは小さく,万一の備えを十分に持って,スピードは常に早いわけではなく,問題によってはじっくり時間をかけて判断する,ようです。

それらよりも,偉大な企業には,狂信的規律,実証的創造性,建設的パラノイアが大切というものです。詳しい話は,本書を読んでいただきたいのですが,私の理解では,少しずつ着実に前進する,保守的で現預金は大きく残しておくということのようです。ここだけ聞くとまるで,普通の企業のようです。しかし,ぶれることなくしっかり続けることが偉大な企業とその他の企業の差となっているようです。

もっとも,偉大な企業は,保守的なだけではなく,色々な新しい施策も試しているようです。それも低コスト,低リスク,低ディストラクションで。

経営者というのは,何か1本の筋では説明できない,矛盾するものを両方供え持っているように思います。何か1つの原理主義ではなく,バランスをとっていくというのでしょうか。

本書での丁寧な検証で,経営について非常に勉強になりました。