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相続法改正⑦ 相続人以外の親族の特別寄与分


こんにちは、静岡市葵区の弁護士の浅野智裕です。

引き続き相続法改正の話をしたいと思います。

今回は相続人以外の親族の特別寄与分です

現行法では、寄与分は、相続人に限られています。つまり相続人以外の者がどれだけ被相続人の財産の維持・拡大に貢献しても何ももらえないことになっています。たとえば、被相続人の兄が、生前から被相続人の介護をしていて、単なる介護契約にとどまらず、実際の介護までしていて、被相続人の介護費用の負担が軽くなったという場合でも被相続人に子供がいれば、寄与分というものは発生しませんでした。しかし、多大な貢献をしていても、相続人かどうかで全く変わってしまうのも可哀そうです。

そこで、今回の改正で親族に限りますが、相続人でなくても特別の寄与分が認められることになりました。特別の寄与がある場合には相続人に金銭請求ができると改正されました。

これで上記の事例では、兄は子供に特別寄与分として金銭請求をできることになりました。これで兄は自分の貢献について、金銭を得ることができて、実質的な公平を図ることができます。

この改正は、親族に限られていますので、親族以外の方には今まで通り寄与分が認められることはありません。無制限に認めてしまうと、場合によっては友人知人の特別寄与分の請求が多発して混乱してしまうことがあると危惧したのかもしれません。

ただし、この相続人以外の親族の特別寄与分は、相続の開始及び相続人を知ったときから6か月以内、相続開始のときから1年以内と規定されていて、あまり期間としては長くないので注意が必要です。なお、この期間制限の規定は、権利行使の期間ではなく、家庭裁判所の協議に代わる処分を請求する権利にかかっているので単純な時効や除斥期間と同様か違うものかは今後の検討が待たれるところです。

あと余談ですが、この相続人以外の親族の特別寄与分は民法1050条以下に規定されていて、現行法では最終章だった遺留分の後に新設されたものになります。これまでの感覚でいると見落としてしまうかもしれないので注意が必要ですね。 

この改正の施行は公布の日(平成30年7月13日)から1年以内となっています。