相続問題


遺産分割がまとまらない場合

遺産分割協議が当事者の話し合いでまとまらない場合、弁護士に依頼をして、調停などで遺産分割をすることができます。遺産分割協議や遺産分割調停でも弁護士がいない場合、法定相続分や特別受益、寄与分などの法的な規定の知識がないことで 一方的に不利な分割案で了解するよう要求されることがあります。しかし、弁護士に依頼することで法的に妥当な分割案で交渉することができます。

具体例

兄弟3人が相続人で、遺産分けの話し合いをしようと持ち掛けていたが、以前から折り合いが悪く、全く話をしてくれず、そのままになっていた。そうしたときに、弁護士に依頼をして、遺産分割調停を申し立ててもらい、家庭裁判所から呼び出しをしてもらい、裁判所で話し合いをして、調停を成立させて、遺産分割をすることができた。

遺言書作成

遺言書を作成したいと考えているけれども、どうすればいいかわからない。そのような場合に弁護士に依頼をして、遺言書を作成してもらうことができます。

具体例

自分の財産を子供ではなく、自分の身の回りの世話をしてくれた甥にも上げたいと考えていたが、遺言書をどのようにすればいいかわからなかった。弁護士に相談をしたところ、子供にも財産を幾分か相続させて、甥には遺贈をすることができることを教えてもらい、弁護士が案文を作成した。案文で納得が言ったので、その内容で公証役場で公正証書遺言を作成してもらった。

遺留分

自分も相続人であるはずなのに、遺言があり、何ももらえなかった。そのような場合に、弁護士に依頼をして、遺留分の権利を主張して、相続財産の一部を取得することができます。

具体例

父が亡くなり、自分と妹2人が相続人だったが、父が遺言で、妹2人に全ての財産を分けてしまい、自分はもらえなかった。そうしたときに、弁護士に依頼をして、遺留分の権利を主張してもらい、相続財産のうち6分の1に相当する金銭を取得できた。

 相続 Q&A

まず、遺言書があるかどうかを確認します。遺言書がある場合、基本的には、遺言書通りの相続がなされます。
遺言書がない場合などは、相続人間で遺産分割協議を行います。相続分を目安として、話し合いをするのが通常ですが、相続を希望しない場合には、何も相続しないこともできます。
遺産分割協議で合意ができない場合、通常は家庭裁判所で遺産分割調停を行うことが多いです。遺産分割調停は、裁判所で行う話し合いです。そこで調停委員会を交えて協議して、合意による解決を目指します。
遺産分割調停でも解決できない場合、審判になることが多いです。審判は裁判所が遺産分割を行うことを言います。

配偶者は常に相続人になります。その他、第1順位が子、第2順位が直系尊属(父母、祖父母など)、第3順位が兄弟姉妹になります。第1順位の相続人がいれば、第2順位、第3順位の相続人は相続できません。第2順位の相続人がいれば、第3順位の相続人は相続できません。また、子供や兄弟姉妹が被相続人よりも先に亡くなっていた場合には、代襲相続が発生し、その子が相続人となります。子供には再代襲相続があり、さらにその子まで相続人となりますが、兄弟姉妹には再代襲相続が認められていないので、その子(つまり甥、姪)までしか相続人になりません。

配偶者と子が相続人となる場合、配偶者が2分の1、子が2分の1になります。子が複数人いる場合には子の中で等しい割合になります。つまり、配偶者と子2人の場合、配偶者が2分の1、子が4分の1ずつとなります。以前は嫡出子と非嫡出子の間で相続分が異なる規定がありましたが、最高裁で違憲判決が出て、法改正がなされて、廃止されました。
配偶者と直系尊属の場合、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1になります。直系尊属が複数人いる場合には、上記と同様に直系尊属の中で等しい割合になります。つまり、配偶者と直系尊属2人の場合、配偶者が3分の2、直系尊属が6分の1ずつとなります。
配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1になります。兄弟姉妹が複数人いる場合には、上記と同様に兄弟姉妹の中で等しい割合になります。つまり、配偶者と兄弟姉妹2人の場合、配偶者が4分の1、兄弟姉妹が8分の1ずつになります。なお、兄弟姉妹の場合、父母の一方のみを同じにする時の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1になる規定があります。

多くは、最初に遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは相続人間で遺産をどのように分けるかを話し合う手続きです。
そして、話し合いの結果を遺産分割協議書という書面にまとめて相続人全員が署名押印をします。

納得いかない遺産分割協議書にハンコを押す必要はありません。納得いったときにハンコを押せばいいです。納得いかない場合には家庭裁判所の遺産分割調停などの手続きで話し合うことができます。

生前贈与を受けていた場合、特別受益として、相続分の引き直し計算ができます。したがって、生前贈与を考慮して相続財産を分けることができます。

相続人が被相続人の事業のために働いた時や療養看護を行なっていた時、相続財産の維持、増加に特別の貢献がある時に当該相続人が、その貢献した分を相続分に追加してもらえる制度です。被相続人の自営業の仕事を手伝った場合や、看護、介護をした時などが多いですが、あくまで相続財産の維持、増加への特別の貢献が必要です。

相続が発生したとき、ほとんどの金融機関は、被相続人の預金口座を凍結させます。凍結された預金口座は、遺産分割が完了するまで払い戻しができなくなるのが通常でした。しかし、平成30年7月の法改正で、相続人が単独で、一定の計算と限度額で預金の払い戻しをすることができるようになりました。

相続放棄とは、家庭裁判所に相続放棄の申述をすることで、初めから相続人にならなかったものとすることができる制度です。
相続では、借金なども相続することになりますので、借金などを相続したくない時に利用されることが多いです。
原則として、自分のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に相続放棄をしなければなりません。 また、子が相続放棄をした場合、次順位の相続人が相続をするので、借金を相続したくない場合、子、直系尊属(父母、祖父母)、兄弟姉妹と順次相続放棄をすることが必要です。

限定承認とは、プラスの財産の限度で負債を相続する制度です。負債の方が多ければ、プラス以上の分まで負債を相続する必要がありません。もっとも、相続人全員で行う必要があること、譲渡所得税が発生すること、債務清算の手続きに時間と手間がかかるなどのデメリットもあります。

被相続人が相続人にどのように財産を相続して欲しいか、考えているのであれば、遺言書を作成したほうが良いです。考えているだけ、あるいは話をしているだけでは法的な効力は発生しません。法律上の要件に沿って遺言書を作成しなければ法的な効力は生じません。
また、自分の希望していたとおりに相続人が遺産分けをしてくれるとは限りません。特にお亡くなりになった後で、紛争が発生することがあります。予防のためにも遺言書は作成したほうが良いです。

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

自筆証書遺言は、遺言者が全文を自筆で作成し、署名押印する遺言書です。相続財産目録など、一部は自筆で作成する必要はなくなりましたが、本文は自書する必要があります。紙、ペン、印鑑さえあれば作成できることから手軽に作成できます。しかし、自筆証書遺言の要件を欠く、内容が遺言としての効力を有さないなどで争いになることがあります。

遺言者が、公証人の前で口述して、公証人が作成する遺言です。公証人が意思確認、内容確認などすることから効力が争われることは少ないです。公正証書の作成費用が発生します。

遺言者が遺言書を作成して、署名押印して、封書に押印をして封印をして、公証人に提出する制度です。要件が複雑で効力が認められないリスクなどあることから、利用は少ないようです。

法律上、一定の相続人には遺留分という権利が認められており、遺留分と言われる最低保証分を下回る場合には、遺留分に相当する金員を請求することができます。これを遺留分侵害額請求権と言います。