貸金を返してくれない場合
貸金の催促をしてもなかなか払ってくれない。そのような場合に弁護士に依頼をして、交渉で返済合意をして、返済してもらったり、返してくれない場合には訴訟を起こして、返済を求めることができます。弁護士が入っていない場合、相手はなかなか返済をしてこないかもしれないですが、弁護士が入って、しっかり返済計画を立てて、文書を取り交わすことで約定どおりの返済をしてもらうことができます。
知人に必ず返すからと言われて貸した300万円について、返済を求めても、今月返すなどと言いながら、結局、返さず、再度催促したらまた翌月返すと繰り返すばかりで全然返済をしてくれない。弁護士に依頼をして、交渉してもらったが、相手が返してこないので、訴訟を提起して、和解をして返済してもらった。
取引先が苦しいと言って売掛金を返済してくれない場合
取引先が資金繰りが苦しいと言って、売掛金をなかなか支払ってくれないことがあります。従業員が電話や訪問をしていますが、なかなか支払ってくれません。そのような場合に弁護士が代理人として交渉して、返済計画の合意をして、毎月の返済をしてもらいます。そうすることで、今後、毎月一定の返済が期待できます。無理に一括返済をしても事実上、相手は返済できず、ときには倒産してしまうことがありますので、一定の毎月の返済をしてもらうほうがこちらにとっても得になります。また、回収手続きをとらないことで、消滅時効や相手方の倒産などの場合がありますので、早期の対応が肝要です。
売掛金が300万円滞納していて、苦しいと言って、なかなか返済してくれない。弁護士が代理人になって、交渉したところ、毎月5万円の60回払いであれば可能とのことであったので、分割返済の合意をして返済をしてもらうことになった。時間はかかったが、5年後には完済してもらった。
代金額に争いがある場合
代金額に争いがあって、取引先が支払ってくれない場合、弁護士に相談をして、相手の言い分の法的な根拠の有無、訴訟での見通しのアドバイスを受けることができます。また、弁護士が代理人となって、交渉または訴訟をすることで、相手から支払ってくれることがあります。
相手が売却した商品に問題があると言って、代金を全く支払ってくれない。そのような場合に弁護士に相談したところ、相手の主張に法的な裏付けはないとアドバイスを受け、訴訟を提起して、訴訟を続けていくことで、最終的に支払ってもらうことで和解で解決した。
債権回収 Q&A
個人であれば相手方個人の、法人であれば一般財産が引き当てとなります。
対策を立てるためには、相手方の情報を得ることが不可欠となります。
債権回収が必要となった後に情報を集めることは困難な場合もありますので、通常時から、債権管理として、常に相手方の情報を得るようにしてください。
「権利の内容」及び「回収手段」をそれぞれ検討する必要があります。
契約書があれば立証に際して強力な手段となります。
また、通常時から、債権回収の場面に備えた条項を契約書に記載しておくことも有用です。
消滅時効が完成しているかどうかの検討も必要です。
近日中に時効が完成してしまう場合、時効中断(改正後は「時効の更新」)の手続きを速やかにとる必要があります。
2020年4月1日に施行予定の改正民法では、消滅時効に関しても大きく改正がありますので、この点も注意が必要となります。
法人の場合は、「不動産」「設備、機械、備品等」「商品、材料等」「預金等」「売掛金等の債権」のそれぞれについて、コストや時間も考慮し、どの財産を差し押さえるか検討する必要があります。
個人の場合、「自宅不動産」「預金」「自動車」「給与」等のそれぞれについて、同様に、コストや時間も考慮し、どの財産を差し押さえるのか検討する必要があります。
自己の債務があった場合、内容証明郵便での意思表示により、相殺を行うことを検討する必要があります。
また、債務者からの商品購入、第三者の債務引き受けなどにより、債権を取得し、相対立する債権とすることで債権回収を図ることも検討します。
債務者の同意があれば、金銭の支払いに代えて、商品を引き上げることで債権の回収をすることができる場合もあります。
商品の価格を評価し、いくらの支払いに代えるのかについても調査・検討することが必要です。
債権譲渡禁止特約がなければ、第三者に債権譲渡を行うことで債権回収手段とすることも可能です。
弁護士が受任した場合、配達証明付きの内容証明郵便にて受任通知を送付するのが一般的です。
通知の内容としては、どの債権が未払いとなっているのか、支払い期限、支払い方法、支払いがない場合は訴訟に移行することなどを記載する例が多いです。代理人弁護士による通知の場合は、さらに、代理人の表示と連絡先の記載をし、交渉の窓口を弁護士に一本化します。
上記催告をした場合、権利自体に争いがなくても、一括で全額支払われることは稀で、分割支払いなどについての条件の提示があることがあります。
訴訟や強制執行には一定の費用や時間がかかる上、全て確実に回収できる保障もないため、任意の分割払いを認めることによりかえって有効に債権を回収できることがあります。
また、分割交渉において、さらに連帯保証人を付けたり、担保を付したりすることも考えられます。
ただし、2020年4月1日以降に締結された保証契約については、「履行状況に関する情報の提供義務」「主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における情報提供義務」「主債務者の契約締結時の情報提供義務」「事業性貸付等債務等に関する個人保証の方式」等、改正後の対応をする必要がある点、注意してください。
分割の合意ができれば、分割に関する新たな契約書を締結します。
相手方の信用状況や債務額に応じ、公正証書とするかどうかについても検討の必要があります。
任意の回収方法では債権回収が期待できない場合、強制執行の手続きによる回収を行う場合には、その根拠となる「債務名義」が必要となります。
通常訴訟により確定判決を得られれば、「債務名義」を取得することができます。
通常訴訟提起をした場合、判決に至るまで1年以上の期間がかかることも珍しくありませんので、訴訟継続中に相手方の資産状況が変わらないか(特に、破産等をしないか)についても考慮する必要があります。
なお、訴訟の途中で相手方との合意ができれば、分割払いなどの条件も含めて訴訟上の和解をすることもできます。この場合、判決と同じように「債務名義」を取得することができます。
正式な裁判の手続きを得ることなく、書面審査のみで「債務名義」を得ることができます。
相手方から争われないことが前提となりますが、手続きが簡便で、費用も安く、迅速な処理が可能となります。一方、相手方の異議の表明で通常訴訟に移行することになりますので異議(※権利そのものに争いがなくても分割払いを希望する場合も含みます)が見込まれる事案には適しません。
ただし、相手方の居場所が不明であり公示送達をする必要があるばあいなどにおいては、支払督促は利用できません。
60万円以下の金銭の支払いの請求を目的とする訴えについては、簡易・迅速な紛争解決を目的とした審理及び裁判を求めることができます。
証拠の提出方法が限定される、利用回数の制限がある、通常訴訟に移行する申述がなされる場合があるなどの制限がありますが、事案によっては利用が有用な場合もあります。
手形・小切手による金銭支払いの請求とこれに伴う法定利率による損害賠償の請求は、手形・小切手訴訟によることもできます。
提出証拠は、原則書証のみとされ、文書の成立の真否と手形・小切手の提示の立証のために当事者尋問が許されるとされています。
当事者の合意を得るため、裁判所の調停委員会を通じ、紛争解決を図ることができます。
当事者が合意することで調停が成立し、成立した調停は、「債務名義」として執行の場面においては判決や訴訟上の和解と同様の効力を有します。
相手方の合意を得られなければ不成立となってしまうことにデメリットはありますが、権利自体に争いがなく支払いの条件のみ合意が得られない場合などの場合には、迅速かつ簡易に紛争解決が可能です。
強制執行を行う場合、通常は事前に判決等の債務名義を得る必要がありますが、相手方の合意を得られれば公正証書を作成し、合意が反故にされた場合に強制執行を行うことができる内容で公正証書を作成することができます。
同書面を作成しておけば、万が一相手が約束した金員の支払いをしなかった場合、裁判所を利用した債権回収①~⑤で述べたような手続きを省略し、強制執行を行うことが可能となります。
判決をはじめとした「債務名義」の取得までは相応の時間を要します。
その間に相手方の財産状況が悪化したり、引き当てを期待していた財産を処分してしまうと、将来の強制執行が不可能になってしまう可能性があります。
そのため、そのようなおそれがある場合、その処分を債権者に対抗できないようにしておくことが「仮差押え」になります。
要件を満たせば、「不動産」「債権」「動産」それぞれの財産について仮差押えが可能です。
また、仮差押えをした不動産が取り壊されようとしている場合などにおいては、「仮処分」を行い取り壊しという行為の差し止めも行う必要があります。
不動産に対しては、強制競売申立て、強制管理申立てを行うことが可能です。
強制競売申立てとは、裁判所に競売申立てを行い、競売で換価することによって債権を回収します。執行開始の要件は、債務者への債務名義の送達と、その債務が履行遅滞にあることが必要とされます。また、対象不動産の所有名義は、債務者のものである必要があります。
強制管理とは、裁判所が選任した管理人によって不動産を管理し、その不動産から生じる収益を収受させ、配当を行うことによって収益から債権を回収する方法になります。
競売しても回収が困難な収益マンションがある場合、ある程度長期的に債権を回収することとなります。
相手方が売掛債権を有している場合などにおいては債権に対する執行を検討することとなります。
具体的な取立方法については法令上特に定めがないため、実務上は差押債権者から第三債務者に連絡し、支払い方法について協議をすることとなります。
相手方の商品等の動産についても執行を行うことは可能です。
一方、生活必需品までは差し押さえできないなど、差押禁止動産の範囲が定められています。
抵当権とは、債務者又は第三者に提供した不動産について、使用収益はそのままにしておいて、弁済がとど凝った場合には担保対象物の交換価値から優先的に弁済を受けることができる担保権をいいます。
住宅ローンなどが代表例です。
根抵当権とは、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の範囲内で担保する抵当権です。
企業間で継続して複数の取引がある場合、個々の取引ごとに抵当権を設定することは現実的ではないため、根抵当権が設定されることがあります。
契約締結時にはまだ未確定である債権を含め、債務者との一定の取引において生じる一切の債権のうち、債権発生原因・発生期間・債権額・第三債務者等を基準としてその範囲が確定する債権の集合体を集合債権といい、そのような集合債権も譲渡担保の対象とすることが可能です。
債務者にめぼしい財産がないものの、事業自体は好調で安定した売掛債権がある場合にはその売掛債権を担保に融資を行うことが考えられます。
無限定に包括的な債権譲渡契約については、その効力の全部または一部が否定されることもありうるため、定め方に注意が必要です。
民事再生手続きとは、一定の場合に裁判所に対して申し立てて行う再生型の倒産手続きです。
事業を継続しながら、再生計画案について債権者の多数の同意(議決権の過半数かつ債権額の2分の1以上の賛成)を得て、再生計画に従った弁済をすることに特徴があります。
手続き開始の申し立て時に、裁判所は、弁済禁止の保全処分を出すのが通常で、これにより債務者は債権者に対して弁済することができなくなります。
再検査yの再生債権の支払いについては、民事再生手続の中で処理されます。
周辺情報を収集し、再生債務者との取引を継続するか、再生計画案が妥当かどうかという点について検討する必要があります。
受任通知の受領後の回収行為については、偏波(へんぱ)弁済として後からその効力が否認されるおそれがあります。
債務者に占有がある商品等を債務者の承諾なく引き上げた場合、民法上の不法行為となる可能性があるほか、窃盗罪や恐喝罪に該当しうる可能性があります。
また、債務者の承諾があったとしても、受任通知後は否認権の対象となり、債務者に返還し原状回復義務を負うことがあります。
所有権留保特約等がある場合は、別除権者として、未払いの商品については引き渡しを請求することが可能です。