借金問題


借金の返済で月々の生活が大変な場合に、法的整理を利用するなどして、経済的に立ち直ることができます。

「生活費の不足、突発的に現金が必要になった…などの理由から、手軽なキャッシングを利用した結果、多重債務に陥り、返済が追いつかなくなってしまった」という依頼者様に多くお会いしてきました。

そんなときは、債務整理をご相談ください。
債務整理は、借金の総額や依頼者様の収入を考慮して、主に 「任意整理」「自己破産」「個人再生」の3つの方法をとります。

自己破産

借金の総額が依頼者様の収入や資産では返済不可能な場合には自己破産を行います。自己破産は、裁判所に破産の申出を行うとともに免責許可を求める手続です。
破産手続が終了した後で、免責に関する審査を行い、浪費などの免責不許可事由がなければ免責許可の決定が出ます。免責許可決定が出た場合には強制執行を受けることはなくなります。

具体例

独身 給与月額20万円程度 住宅は賃貸 借入総額200万円(銀行カードローン、サラ金など)月々の返済8万円の場合

このような場合、住宅の賃料に加えて借金を返済していくと毎月の生活が苦しく、時にお金が足りなくなります。そういった状況のときには自己破産手続きをして免責を得ることで返済をしなくてよくなります。また安定してくれば貯蓄をしていくこともできます。以前のような借金の返済に追われてばかりの生活から立ち直ることができます。

個人再生

個人再生手続きは、借金総額を大幅に減額することができます。この手続きは住宅以外に特に大きな資産がない場合に住宅を残す方法として有効な手続きです。
個人再生手続きが債権者の反対なく認められた場合、住宅を残して、住宅ローンの支払いを続けながら、他の借入金の8割近くを減額できることがあります。

具体例

家族4人(夫婦と子ども2人)夫給与月額30万円程度、自宅所有、住宅ローン月10万円返済、残額2000万円、他の借入金700万円(銀行カードローン、キャッシングなど)月々の返済15万円

上記のような状況では、住宅ローンを返済した後、他の借入金の返済を行うと生活費が回りません。このような場合、カードローンなどで返済と借り入れを繰り返して自転車操業になりますが、いずれは資金繰りに行き詰ります。このような場合に個人再生手続きをとることで、住宅を残し、住宅ローンの返済は続けたままで、借入金を140万円ほどまで減額し、毎月の返済額を4万円ほどまでに減額できることがあります。

任意整理

金融機関と交渉をして、リスケ(返済計画の変更)などによって、法的手続を利用せずに借金を返済できます。破産や再生手続を利用せずにすみます。借金の総額が少額で、依頼者様に定期的な収入があり、数年程度で返済可能な場合には任意整理を行います。任意整理は、依頼者様の収入状況を把握し、毎月の弁済可能額を検討したうえで、借金総額を考慮して、毎月の弁済額を決めて、弁護士が個別に貸金業者等と和解交渉を行います。

具体例

独身 給与月額20万円程度、自宅は賃貸 借入金100万円(銀行カードローン、キャッシングなど)月々の返済6万円

上記の状況でリボ払いなどの場合は実は返済を続けてもほとんど利息のみで元金がほとんど減りません。そうしたときに任意整理を行い、5年程度の返済を続ければ確実に借金がなくなるように各業者と和解を行います。そうすることで毎月の返済も少なくなり、生活に余裕が生まれます。

 自己破産 Q&A

生活状況や資産状態から一括のお支払いが困難な場合には分割のお支払いのご相談に乗っております。依頼者様の生活になるべく無理のないように分割支払でお受けしています。但し、ご依頼時には一部金として必ず1万円をいただいております。
また、破産申立の場合には、分割支払が完了してからの破産申立をさせていただきますのでご理解いただきますようお願い申し上げます。

破産のご依頼をいただいて、弁護士から通知を出せば、多くの業者からは取り立てが止みます。そして、支払いもする必要はありません。むしろ支払ってはいけません。支払うと偏波弁済(偏った返済という意味)に該当する可能性があり、破産手続きのなかでペナルティを受ける可能性があります。
ご依頼いただいた場合には、支払いはストップすることになります。

自己破産の申し立てをする際に、裁判所に手続き費用を予め納付することを予納金と言います。
同時廃止事件では、予納金は概ね2万円程度になります。予納金の内容は官報広告費用、郵券(郵便切手)になります。
管財事件では、予納金は概ね3万円程度に加えて引き継ぎ予納金20万円〜(事案に応じて増額されることがあります)が必要になります。小規模管財では20万円、通常管財では50万円〜とされることが多いです。管財事件は、破産管財人が選任される事件のことを言います。
したがって、自己破産が同時廃事件になるか、管財事件になるかは非常に重要な事項になってきます。打ち合わせ段階で、申立内容を検討して、予想をたて、場合によっては事前に裁判所とも相談して進めることがあります。

破産した場合、信用情報機関へブラックリストされます。信用情報機関を利用している金融機関・信販会社などから、一定程度の間(概ね10年程度)、借り入れをしたり、ショッピングローンを組んだり、クレジットカードを利用できなくなります。
なお、破産者やブラックリストに載った方でも借り入れできるとの内容のダイレクトメールや貼り紙等にて借入を勧誘する業者がいますが、そうした業者を利用すると余計なトラブルの素となり、破産手続きが円滑に進まなくなることがあるので、借入することはもちろん、問い合わせも絶対にしないようにして下さい。

破産した場合、保証人は、債権者から残額を一括払いするよう請求を受けることとなります。もっとも、保証人になっていなければ、家族であっても支払う責任はありません。

弁護士介入による支払いストップは、一時的なもので、最終的な解決ではありません。最終的な解決には破産申立が必要です。破産申立が遅れれば債権者から訴訟提起されることがあり、判決が確定すれば強制執行などで資産の差し押さえ、換価などされることがあります。
したがって、一時的にストップしたことで安心せずに速やかな破産申立が必要です。

破産申立と同時に免責許可の申し立てを行い、免責が許可された場合には負債の責任がなくなります。免責の法的意味について色々な見解がありますが、共通しているのは強制執行を受けることがなくなるということです。
免責は、破産者に特に不誠実なことがなければ多くの場合、認められます。免責不許可の可能性がある場合には、別途、進行や手続きについてご依頼者と相談いたします。

主なデメリットは資産の処分、資格制限です。
資産の処分について、特に所有している不動産は失うことが多いです。預貯金、保険などは色々な考え方がありますが、破産をしても資産総額99万円までは残せることが多いです。詳細はお問い合わせください。
資格制限は、保険の外交員、警備員、公務員など、破産をすると資格を失うものがあります。
逆にいえば、これらがなければあまりデメリットはありません。

自宅を残すには個人再生か任意整理が必要です。破産の場合には自宅は失ってしまうと考えてください。
したがって、自宅がある場合には、まずは個人再生か、任意整理を考えたほうが良いです。

個人再生で自宅を残す場合、個人再生には多くの要件があります。再生計画のなかで弁済する金額を決めるには最低弁済額や清算価値保証の原則があります。また、住宅を残す場合の住宅資金特別条項を使用するためには住宅の名義が誰になっているか、ローンは住宅ローンになっているか、他の担保はないか、など多くの点に注意しなければなりません。
したがって、事前に入念に資料を集めた上で、見通しをつける必要があり、簡単にはできるかどうかは判断できません。
まずは、ご相談のうえ、資料などを確認して、見通しを付ける必要がありますので、ご理解いただきたいと思います。

個人再生の再生計画を作るなかで最低でも弁済しなければならない返済合計額のことを言います。負債額によって変動があります。具体的には以下の通りになります。
負債が100万円~500万円の場合 最低弁済額は100万円
負債が500万円~1500万円の場合 最低弁済額は20%
負債が1500万円~3000万円の場合 最低弁済額300万円
負債が3000万円~5000万円場合 最低弁済額10%
個人再生の多くの場合、サラリーマンで住宅を残したい方なので、住宅ローンを除けば負債が500万円~1500万円になることが多く、20%になることが多いです。

大雑把に言うと個人再生では破産したときの配当見込みよりも多くの返済をしなければならないということです。
資産を持っていないと安易に決めつけるのは危険です。保険に解約返戻金が多くあればそれも加算しなければなりません。
住宅ローン残額が少ないときは特に注意が必要です。住宅ローンが残り数百万円程度になっていたとき、土地建物の評価が1000万円を超えるときにはその差額も加算することになります。そうすると最低弁済額を大きく超えた返済を3年から5年でしなければならないことになります。場合によっては再生計画を組めないこともあります。
したがって、清算価値保証の原則の確認は重要です。