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ジェフ・ベゾス氏の離婚 主に財産分与について


こんにちは,静岡市葵区の弁護士浅野智裕です。

米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)創業者ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏とマッケンジー(MacKenzie Bezos)さんの夫妻が離婚したとの報道のなかで財産分与でマッケンジーさんが約360億ドル(約4兆円)相当の株式を受け取る離婚調停が成立したようです。

さすが世界一の富豪の離婚です。財産分与も派手であります。

ところで,今回はこの離婚と財産分与のことを書きたいと思います。

米国の法律は私にはわかりませんので,あくまで日本における離婚と財産分与という話をしたいと思います。

離婚の原因がベゾス氏の不倫にあるようで富豪が不倫をすると厳しいのだなあと思われる方がいるかもしれません。しかし,あくまで不倫の罰だけとは考えられないところがあります。米国の法律に詳しくないだけにあまり詳細に書けませんが,マッケンジーさんは「慰謝料」ではなく「財産分与」で360億ドル(約4兆円)相当の株式を受け取ったようです。つまり不倫による慰謝料だけではない可能性があります。実は,日本でも同じようなことになる可能性があります。

日本では離婚による慰謝料と財産分与は別の考え方をとっています。

 

  • 慰謝料と財産分与

 

離婚による慰謝料は,婚姻関係を破綻させたことにつき責任のある配偶者が,破綻させられた配偶者が受けた精神的苦痛に対して支払うものです。あくまで精神的苦痛に対するものです。

一方,離婚による財産分与は,夫婦の共有財産を清算することにあります。すなわち,夫婦で築いてきた財産は夫婦の協力のもとに形成したもので,夫婦の共有財産と考えられています。これは,住宅や車などが一方の配偶者の名義であっても共有財産と考えられています。そして,離婚をする際には共有となる財産を分けることになります。どのように分けるかというと,基本的には2分の1ずつになるように分けるということになります。そうすると,結婚した後で猛烈に働いて一代で財を築いた人が,晩年に離婚をする場合には夫婦の共有財産はものすごい評価が出ることがあります。ベゾス氏がまさにそうだと思います。おそらく米国でも似たような制度になっていると想像されます。この財産分与がときには慰謝料の相場をはるかに超えて出てくる可能性があります。

 

  • 慰謝料

 

慰謝料の相場は多くは200万円~300万円を言われていて,悪質の程度でさらに増減します。

 

  • 財産分与

 

ところで財産分与では,あまり財産がなければほとんど考慮しませんが,大きな財産を築いた場合,たとえば評価額3000万円の財産を築いていた場合,夫婦それぞれが1500万円ずつ受け取るよう調整することになります。そうすると,慰謝料をはるかに超えた金額になります。

一例ですが,結婚したあとで会社を設立して,会社を大きくしてきた場合,株式の評価が大きく膨れ上がる可能性があります。そして,株式以外に財産があまりなければ財産分与にかなり苦労します。株式を渡してしまうと会社支配権を一部失うことになります。一方で現金で払おうとしてもお金がないということになります。

そういう意味で,会社経営者にとって,離婚は会社経営のリスクにもなってしまいます。離婚をきっかけに会社経営に支障が出る可能性もあります。会社経営者は,家族のため,さらには会社のため夫婦関係に気を付ける必要があると言えます。

そもそも家族円満が幸せの源だと思いますので,夫婦関係は大切にしましょう。

なお,本ブログについて,個別の事情で変わる可能性はご留意ください。