ブログ

NHK連続テレビ小説「虎に翼」②


静岡の弁護士の若狹です。

本日放送の第13話は、「カフェー燈台」にてよねさんの悲痛な半生が語られる、というお話でした。

「法律とカフェー(※カフェにあらず)」といえば、昭和初期に起きた「カフェー丸玉事件」というものがあります。
法学部1年生の授業で出てくるような、基本的な超有名判例です。

どのような判例かというと、道頓堀にあった「カフェー丸玉」の男性客が女給さんに対して、「独立資金として400円あげるよ」と約束(=贈与契約)したため、女給さんがお客さんに贈与契約に基づいて400円の支払いを求めたところ、大審院(=今の最高裁)は、「男性客側が任意に支払うのならそれはそれでいいけども、男性客も女性の歓心を買おうとして約束したんだろうから裁判上の請求権は認めませんよ」(=自然債務)と判断したものです。

この裁判例解説のときに、「一口にカフェーといってもスタバやドトールとはかけ離れた、今でいえばキャバクラ+性風俗店的なとってもいかがわしいところで、カフェーのような『特殊喫茶』と区別するために『純喫茶』という名称が~云々」というお決まりの喫茶店の歴史トリビアを習った記憶があり、「カフェー丸玉」というネーミング、400円という時代性を感じる相場とともに強く印象に残っています。
もはや「純喫茶」自体最近あまり見かけないですけど笑
弁護士として思うことは、男性客の「独立資金として400円あげるよ」という発言は一体どうやって立証したんだろう(手紙?証人?発言自体は争わなかった?)とか、いろいろ好奇の目にさらされたろうに女給さんはよくぞ大審院まで戦い抜いたな、というあたりですが、100年近く経った今では背景事情はもはや歴史の闇の中ですね。

朝ドラ仕様で多少マイルドになっていると思われるとはいえ、当時のカフェーの雰囲気というのは概ねあんな感じだったんでしょうね。
今日のドラマの展開は、間違いなく「カフェー丸玉事件」を参照していると思います。

法の不知を嘆くよねさんに対しては、あの男性弁護士が委任契約書を作成しないことも依頼と引き換えに体の関係を迫ることも現代ならどちらも弁護士職務基本規程違反ですよ…!スマホで証拠残して!!と声をかけてあげたかったですが。
それにしても、あの男性弁護士、いやらしい人でしたね。。